心理尺度,心理検査の研究にお薦めのサイト |
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日本パーソナリティ心理学会 心理尺度の広場 学術誌 「パーソナリティ研究」で発表された尺度のマニュアルが公開されています。 |
■心理検査 |
心理検査は、個人の精神、メンタルな部分を測定する精神検査や、性格や態度、いわゆるパーソナリティを測定する人格検査(性格検査)。図形や数字、言語、絵などを利用する知能検査なども含まれます。 心理テストは、約50種以上のものが標準化されて利用されています。といっても、精神分析や臨床検査に使われる専門的なものも多く、一般的な適性検査に使用されるものは限られているといっていいでしょう。 形式としては、質問紙法、作業検査法、投影法、面接法、評定法などがあります。 質問紙法・・・・質問の書かれた用紙と回答用紙を受検者に配り、回答を書きこんでもらう形式 評定法・・・・・・質問紙法と同様な検査ですが、たくさんのことがら、あるいは1つのことがらに対して、好き嫌い、優劣の順序をつけたり、分類するなどで「評定」をつけるものです。 作業検査法・・・1桁の数字を順に足していき、その作業曲線を見るクレペリン検査が有名です。作業検査は、ペーパーテストよりも客観的な評価が得られ、信頼度も高いといわれています。 投影法・・・・・・「投影」とは、人間の深層じ理が投げかけたもの、という概念で、この検査は人格のもっとも深い部分まで測定できるとされています。一般の適性検査ではそこまでの分析が必要になることは滅多にありません。むしろ、精神分析的な目的に使われることの多い検査です。代表的な検査はロールシャハテストです。これは、受検者に左右対象の図を見せ、そこから連想することを答えさせるというものです。そのほか、絵を見せてそこから思いつく物語を話させるTAT(主題統覚検査)、主語や述語のみが書いてある文章を完成させて、被験者の関心や願望を見る文章完成テストなどがあります。 ※評定法は、統計を分析するとき利用される。また、教育現場などで利用されるソシオメトリックテストなどがあるが、人権の問題もあり心理テストとしては、あまり実施されない。 |
投影法 | 漠然とした形や言語を見せたときの被験者の反応、解釈を分析し、行動、性格の無意識な部分を把握する方法。
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質問紙法 | アンケート調査など質問形式で自己評価を求める方法。調査に基づいて統計分析などを行う。
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作業検査法 | 一定の作業(計算や動作、器具の操作など)を被験者に与え、作業量や経過を測定し、行動、性格を診断する。
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■主な心理検査の詳細 |
内田・クレペリン精神検査 意識的な部分よりも前意識的な精神機能の基底を診断する検査。人の行動特性や性 格特性を客観的に判定、職種に適した人材を見つけだす検査に使われる。1桁の数 字の連続加算作業を、1行1分で前半後半15分ずつ行い、各行の到達量、平均作業 量、加算の誤り、飛び越しの有無などにより性格特性を診断する。 ●方式 作業検査法/所要時間40〜50分 実施者による立ち会いが必要。あらかじめ録音されたテープに沿って実施する場合もある。 ●開発者 内田勇三郎 (ドイツ:E.クレペリン) ●発行元 金子書房 |
YーG性格検査(矢田部・ギルフォード性格検査) D(抑うつ性)、C(回帰性傾向)、1(劣等感)、N(神経質)、0(客観性欠如)、 Co(協調性欠如)、Ag(愛想が悪い)、G(一般的活動性)、R(のんきさ)、T (思考的外交)、A(支配性)、S(社会的外交)の12の尺度ごとに10の質問がされ、 「はい」「わからない」「いいえ」の三者択一で答える。結果として@平均型、A不 安定積極型、B安定消極型、C安定積極型、D不安定消極型の5つの性格類型を導 きだす。 ●方式 質問紙法/所要時間30〜40分 ●開発者 矢田部達郎、辻岡美延、園原太郎 (米:G.P.ギノレフォード) ●発行元 日本心理テスト研究所 YG検査は日本心理テスト研究所の登録商標です。 |
MPI(モーズレイ性格検査) 外向性尺度項目(E)24、神経症的傾向尺度項目(N)24、中性項目12、虚偽発兄 尺度項目(L)20の全80項目から構成された、外向性一内向性の程度と神経症的傾 向を測定するもの。EとNの尺度の一一'高低により、9つの性格類型に分類される。 ●方式 質問紙法/所要時間15〜30分程度 ●開発者 H.J.アイゼンク ●発行元 誠信書房 |
16PF 性格特性を16の因子で分類、それぞれを測定することで個人の人格をとらえようとする検査。16因子は両極性をもち、得点の高低で因子ごとの特性が決まる。各因子それぞれに10〜13の質問が配当されている。回答は三者択一。16因子は、A:情感、B:知能、C:自我強度、E:支配的、F:衝動性、G:公徳心、H:大胆、I:繊細、L:猜疑心、M:空想性、N:狡猪、0:罪責感、Q1:抗争性、Q2:自己 充足、Q3:不安抑制力、Q4:浮動性不安となっている。 ●方式 質問紙法/所要時間40分程度 ●開発者 R.B.キャッテル ●発行元 日本文化科学社 |
EPPS性格検査 アメリカの心理学者H.A.マレーの欲求モデルに基づいて、受検者の特徴的な欲求や好みを測定する検査。測定される特性は、達成、追従、秩序、顕示、自律、親和、内面認知、救護、支配、内罰、養護、変化、持久、異性愛、攻撃の15。回答を強制選択方式とし、それも社会的な望ましさを同程度にした1対の文章を選ばせることにより、受検者が自分をよく見せようとする傾向をおさえているのが特徴。各特性に つき9種類の文章が用意され、設問は全部で225。 ●方式 質問紙法/所要時間約40分 ●開発者 A.L.エドワーズ ●発行元 日本文化科学社 |
PILテスト 現代人に蔓延している空虚さの測定のために開発されたテスト。生きがいや自己実現のレベルの判定が可能となっている。パートA、B、Cの3部から構成され、パートAは20項目の質問紙で、回答は7つの選択肢から1つを選ぶ。パートBは13項目からなる文章完成テスト、パートCは自由記述。パートB、Cについては専門家による解釈が必要。きわめて今日的な性格検査の先駆といえるもの。 ●方式 質問紙・作業検査法/所要時間約20分 ●開発者 PIL研究会(米:J.C.クランバウ他) ●発行元 システム・パプリカ |
ロールシャハテスト 無作為に作られたインクのシミが何に見えるかで、被験者のものの見方、意味づけや外界とのかかわり方を調べる検査。見せる図版は10枚で、5枚は無彩色、5枚は彩色。何に見えるか以外に、シミのどこに(反応領域)、どのようなものが(反応内容)、どういう理由(反応決定因)で見えるかも調査し、、これらの結果をもとに反応構造と反応過程の分析が行われる。すぐれた検査官テストを行えば、どの検査もおよばない情報入手が可能とされている。 ●方式 投影法/所要時間30〜40分程度 ●開発者 H.ロールシャハ ●発行元 日本文化科学社 |
TAT(主題統覚検査) 刺激図版と呼ばれる20枚程度の絵から、自由に物語を作らせ、その物語の主人公の感じる欲求や圧力、行動のレベル、問題解決の方法、物語の結末が明るいか暗いかなどを分析し、人格の各側面解明する検査。ファンタジー分析のすぐれた技法ともいわれ、犯罪学や文化人類学などの方面で各国で広く活用されている。分析・解釈をするためには専門家が必要となるが、日本では専門家の数が少なく、知名度は比較的低い。 ●方式 投影法 ●開発者 H.A.マレー、C.D.モーガン ●発行元 金子書房 |
■その他 心理検査/心理テスト | |
ゾンディ・テスト | 精神障害者の顔写真を絵画統覚テスト。漠然とした場面の絵画を見せ、被験者に物語を作らせ、語られた主題、内容を分析して、人格や行動特徴を理解する。見せて、好きな顔、嫌いな顔を選ばせ、隠された衝動や葛藤を診断する。 |
P-Fスタディ | 欲求不満を引き起こさせるような2人の人物が描かれている絵カードを用い、欲求不満に対する反応を分析して診断させる。 |
SCT | 文章完成法。被験者に不完全な文章を提示し、それを自由に補足させて全文を完成させ、潜在する歪みをみる。 |
MMPI | ミネソタ多面人格目録。550の質問項目より、心気症、抑鬱、ヒステリーなど10の臨床尺度で表示する。 |
向性検査 | リビドーを内向性と外向性とにわけるため、質問紙法で検査する。 |
ビネー・シモン式知能検査 | 問題の難易度を客観的に決定し、各年齢級の問題数を一定にし、知能の発達率を示す検査。 |
WISC | 言語性IQと動作性IQ、さらに12の下位検査の結果より、知能診断を行う。 |
ソシオメトリック・テスト | 集団内における受容と拒否の範囲を測定し、集団内における個人の位置や集団の構造的発展状況から人間関係を測定する。 |
ゲス・フー・テスト | 個々人の相互評価により、集団内の個人の相対的位置を知る。 |
評定尺度法 | あらかじめ特定の人格特性について一定の尺度を作っておき、観察の結果、その尺度上のどの位置にあるかを測定する。 |
スタンフォード・ビネー式知能検査 | ビネー・シモン式知能検査を改訂したもの。この検査によって初めて知能指数による表示がなされた。 |
CAT | TATの子ども版。 |
バウム・テスト | バウム=木。描画法のうち樹木を描かせる方法。投影法の一方法としたコッホによると、樹木は内なるものを外に出す法則を有し、内面と外面、深層と表層の混合である。また描画することは受動的な投影を能動的な形成に変える働きをもつとする。 |