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 シュプランガー 6つの価値観 

シュプランガー Eduard Spranger 1882?1963 ドイツの哲学者、教育学者。

ベルリン大学で、ディルタイから生の哲学を、F.パウルゼンから文化哲学をまなんだ。

★生の形式を分類
主著「生の諸形式」(1914)では、人間の精神作用を認識作用、審美的作用、経済的作用、宗教的作用、支配作用、共感作用の6つで説明。それぞれの精神作用は精神全体の作用のもとにはたらくのであるが、その全体的連関の中でどの精神作用が支配的にはたらくかによって、それぞれ独自に価値の追求がなされ、人間の個性が形成されていくとした。そして、そうした個性の理想的類型の基本的なものとして、理論的人間、審美的人間、経済的人間、宗教的人間、権力的人間、社会的人間の6つがあると説いた。
経済志向型 Economical intention type
★物事の経済性、功利性をもっとも重視する。

財力や経済力をポイントにして、物事を判断するのが経済型の特徴です。

 たとえば、資産家で絵画を購入するのは、投資のためであり、芸術を愛しているというよりは、人の関心や金銭を得る手段のために購入しているです。
資格など勉強をしたり知識を得るのも、何かを得るための手段なのです。


 人を評価するのも、相手が金持ちかどうか、利用価値があるかどうかなど、自分への損得で見る傾向が強い人です。
考え方は実際的で、現代的なドライさを持っており、利己主義的な性格と言えます。

 裕福さや財力が最大の興味、気になるところですから、見栄を張って着飾
ったり、装飾品にきらきらしたものを付けたりする一方で、妙にけちけちしたところもあります。
 とにかく、お金や財産の獲得が人生のテーマですから、生活や考え方に情緒性がなく、友達との付き合い方も、けちとか、ドライと言われますが、無駄のない生活を実行します。

 ときには損得感情抜きで、行動することも大切だと思われます。
理論志向型
Theoretical intention type
★物事を客観的に見て、論理的な知識体系を探求することに価値観をおく。

世の中や物事を、客観的に眺め、理論的に解釈、説明しようという人が理論型と言われています。

好きとか嫌いといった感覚を拒否しあくまで、客観的で冷静な判断をモットーとし、それを理論として、また体系とするのに大きな価値を置いています。
具体的な出来事や状況にはあまり興味がなく、実生活への適応力は乏しいと言えます。現実的なことより、普遍的なことに、思いは常にいっています。
従って、政治や芸術への関心も薄いという傾向にあります。
感情や感性を考えの中に導入しませんから、クールで、個人主義的な一面をのぞかせます。自分の研究や興味分野に徹底的に集中して生きる面があります。

他人への思いやりや同情心が少なく、温かみのない人間とみられています。
 理論や体系にすべてを押し込もうとするため、他人には妙な屁理屈に思われたり、頑固な人に見られることもあります。

自分の意見を正しいと思いこみやすく、他者と対立することもあるので、相手の
意見も採り入れる態度を忘れないようにしましょう。
審美志向型
Aesthetic appreciation intention type
 
★繊細で敏感であり、美しいものに最高の価値をおく。

感覚をとにかく大切にし、妥協しないで最高のもの(美)を求めようとするのが審美型です。
敏感で、繊細な神経と感覚の持ち主で、とことん、こだわりのある生活や人生を志向します。生きる目的は、自分の感性を満足させられる、最高の美を追求するというわけです。
 実際の生活や社会には関心がなく、理論的に、また客観的に物事を考え理解しようとはしません。現実そのものを、ベールに包んで眺めてもいます。
実際から遊離した状況でも、自分の美学は、最後まで大切にします。従って
個人主義的になり、人からの束縛を嫌います。自由が自分の美学を維持する
重要な要素であり、自分の行動に酔って享楽的になったり、無秩序的な世界
を賛美したりします。

 芸術やファッションの世界で、斬新な感性を表現する人も多くいますが、現実生活との矛盾に孤立し、さらに自分の世界にこもる結果にもなります。

感受性が高く、精神的に傷つきやすいタイプなので、うまくストレスを発散できるようにしましょう。
宗教志向型
Religion intention type
★神への奉仕、神秘的なことへの興味を価値におく。

多神教の日本人には、現れにくいタイプかもしれませんが、特定の宗教へ関心があり、信仰している人に現れる類型です。


宗教型といっても、すべて職業的に宗教に係わっているということではありません。絶対的な神を求め、恵みや愛を拠り所や救いにして、人生を生きていくタイプです。
神や仏に対して、敬虔な気持ちを持ち、愛や思いやりを大切にし、華美な生活を戒め、節制した、誠実な生活を志向します。

僧侶や牧師のなかに、この宗教型を多く見いだすことができます。また、心からボランティアに奉仕したり、信心深く、真面目に生きていくことに価値や愛を見いだそうとする人です。

しかし、宗教や慈善的行為を金儲けや権力の手段にしている人も多く見受けられます。おそらく、このような人たちは、宗教型と言うより、タイプとしては経済型であり権力型と言えます。

神や仏の大きな力にこだわり過ぎ、狂信的になり、厳しさを相手に求めたり、逆に自虐的になったりする人もいます。神秘性の部分にのめり込み、それがすべてであると信じるのは、大変危険な行為であると認識しましょう。

宗教的回心で、人生の目的たかめられ、生きがいを持つことができたという人はおおく、宗教心理学の分野において中心的分野でもあります。

宗教をよい方向に利用することを心がけてください。
因果応報それなりの報いがあると思います。
権力志向型
Power intention type
★権力を求め、他人を支配しようとする。

権力を持ち、それを行使することが最大の喜びであり、目的なのが権力型です。とにかく、人を支配し、命令しようとするタイプです。

勉強や努力は、人より優れたい、自分が他人より優位にたてる材料としてあるだけです。芸術への関心もしかりです。会社や地域にいる周囲の人も、自分の権力獲得や、権力行使のための存在としか思っていません。周囲への施しも、温かい思いやりや愛からではなく、自分の地位のためです。逆に、その人を侮蔑的に見ていると言えます。

大きな場で上位に立てない反動が、小集団、例えば家族、クラブ活動、会社の課、友人仲間などの場面で、権力型そのものの猛威を振るう結果となります。
権力型には、どんな状況でも権力獲得に向かうタイプもいますが、挫折により孤独感を味わいながら、自分だけで自分の能力を讃えるタイプもいます。

権力志向の人は、リーダーシップが高い方だと思いますが、自己顕示欲も
高く、人から認めてもらいたい欲求が高いといえます。

反社会的にならないよう、社会に貢献できれば、権力志向もすばらしいものになります。
社会志向型
Social intention type
★人間を愛し、協調していこうとすることへ価値を重要視する。

仲間を愛し、同僚を大切にして、一緒に仲良く生きていこうというタイプが、社会型です。
他人や地域との調和を大切にして、ときには献身的になることも、いといません。生活している現在を大切にし、生まれた故郷を愛し、平和を重んじる人たちです。

福祉活動や奉仕活動に対して、嫌な顔も見せず参加します。この型の人にとっては、そうすることが当たり前の行為であり、人と協力しあい、何かを達成することに、価値を見いだすのです。他人を愛し、信頼し、皆が向上することが喜びでもあるのです。
 社会型は、母親の子供や家族への愛に象徴されると言われます。代償を求
めるのではなく、逆に提供することが喜びともなるのです。
皆と協調的であるため、八方美人的に見えますが、根っからの利他主義者
で、勝つか負けるかの強烈な経済活動や政治活動には向かない人たちです。

優しい反面、人から利用されたり、損な役回りが回ってくることもあります。
不満に思うことがあれば、相手にはっきり断わることも大切です。